音声ガイド
63. 美術館の建物について
M. HECKSCHER: ここは、エジプトのデンドゥール神殿を展示するため、特別に設計された空間です。1960年代後半、ナイル川に巨大なダムを建築するにあたって、エジプト政府はこの神殿をアメリカ政府に譲渡し、それが、メトロポリタン美術館に寄贈されました。
このガラス張りのスペースの設計を手がけたのは、ケヴィン・ローチ・ジョン・ディンケルー・アンド・アソシエーツ建築事務所です。建築家のケヴィン・ローチの話を聞いてみましょう。
KEVIN ROCHE: 日の光のもとに神殿を展示する事と、元来と同じ方角に設置する事を強く主張しました。つまり、神殿の正門を東向きにするということです。また、神殿と水との関係を、訪問者にも理解してもらうことが大切だと考え、エジプトにあった当時に神殿を訪れた人々が使った、テラスのようなものをつくりました。
M. HECKSCHER: 美術館を建築するにあたっての難題のひとつは、展示作品に適したスペースをつくることです。また、建築家は、そのロケーションに、どんな建物がふさわしいかも検討しなければなりません。この場合、セントラルパークにはどんな建物がふさわしいか、ということです。
KEVIN ROCHE: 私たちが考えたのは、この増築をマッキムとミード、ホワイトがつくった新古典主義的な外見で装うよりも、公園から見ると、温室かサンルームのように軽やかな印象にすることでした。都会の街並みの外観では、公園には重厚すぎて適していないと思ったのです。建物全体を公園にとけこませて、サンルームのようなガラスの壁や屋根などを導入し、まさに公園にふさわしい建物にしました。
M. HECKSCHER: M. Heckscher: ガラス張りにしたことによって、夜には非常にドラマチックな神殿の眺めが楽しめます。